第四回 業務用ろ過装置

 

 久しぶりでございます、お風呂やプールにまつわるお話を真面目かつユーモラスにお送りするユーアイ塾のお時間がやってまいりました!
 「前回で終わったんじゃないのか……!」と思った方、安心してください、やってますよ。
 今回のお題は『業務用ろ過装置』です。おっ、ようやくそれっぽくなってきたぞ!
 というわけで、ろ過の方法から装置の仕組みまで、設備屋らしく詳しくご説明したと思います。

 ろ過の方法

 さて、業務用ろ過装置と言ってもその用途は多岐に渡り、地域の上・下水施設から水族館の水槽まで様々です。ユーアイ技研はお風呂とプール関係を専門的に扱っているわけですが、今だけ少し視野を広げてお話しようと思います。

 まず、ろ過装置のろ過方法は大きく二つに分類することができます。それが『緩速ろ過』と『急速ろ過』です。

 緩速ろ過は水を何層もの砂利層に通してろ過する方法で、砂利による物理的除去と、増殖した藻類や微生物群が形成したろ過膜による生物的除去で水中の不純物・菌類を取り除いております。
 塩素などの薬品を使わずにろ過でき、微生物による分解が非常に優秀なので、ものすごくキレイな水を得ることができます。
 ただし緩速の名の通り、ろ過にはかなりの時間が掛かってしまいます。さらに、水質の急激な変化に弱く、基準以上に濁った水が通ったりするとろ過膜が破壊されてしまうこともあります。なので、スピード的にも水質の不安定さ的にもプールや温泉の浴槽には適さないろ過方法です。

有機栽培の助さん、無期栽培の格さん

そしてご隠居

 緩速ろ過は主に浄水場で使われていた方法なのですが、近年の水質悪化に伴ってその数は少なくなっている状況です。時代の流れですねぇ(-_-)

 一方、急速ろ過は、ろ過材による物理的除去と薬品による化学分解的除去で不純物・菌類を取り除く方法です。
 緩速ろ過の30倍ほどのスピードで水をキレイにします。さらに、精度は緩速ろ過に少し劣るものの、濁り具合に左右されず、常に一定の質を保った水を得られます。今日に出回っている様々なろ過装置は大体がこちらです。

 この二つの違いを例えると、有機栽培と無機栽培みたいなものでしょうか。どちらが悪いとか良いとか、一概には決められません。
 お風呂・プールのろ過装置はすべて急速ろ過なので、とりあえずこちらにスポットを当てていきましょう。

 

 御託はいい! お風呂・プールのろ過方法とは!?

 浴槽用のろ過方法はいくつかあり、代表的なものは『けいそう土式』、『砂式』、そして『カートリッジ式』です。それぞれ特徴があり、ニーズに合わせて使い分けることができます。

『けいそう土式ろ過装置』のろ過材

・ろ過材の中で一番粒子が小さい

・ろ過精度 ◎

・めちゃくちゃ水がキレイになる代わりに管理が難しい

・目詰まりが起こりやすいので、こまめにろ過材の交換が必要

『砂式ろ過装置』のろ過材

・1mm~2mmほどの粒状

・種類が多様で用途ごとに選ぶことができる

・ろ過精度 ○

・装置の扱いや管理が楽

・ろ過材の入れ替えは数年に一度だが、作業が大掛かり

『カートリッジ式ろ過装置』のろ過材

・ろ過装置の中では一番安価で手に入る

・ろ過精度 △

・ろ過材の交換が自分でできるものがある

・カートリッジは産業廃棄物として処理しなければならない

 

 金魚の水槽は大体カートリッジですよね。ウチにいるウーパールーパーの水槽もです。使い捨てだけど手間が掛からずウーパールーパーもニッコリ!
 浴槽にもカートリッジは使えますが、規模が大きくなるとろ過が追い付かなくなってしまうので、小規模浴槽以外はけいそう土式や砂式にするのが一般的でしょう。

 ユーアイ技研のろ過装置は、「エコろ過装置」「パッケージ型ろ過装置」「多機能ろ過装置」の3種類があります。
 エコろ過装置はカートリッジ型ですが、他の二つは砂式ろ過でセラミックろ過材を使っています。けいそう土式にしないのは、毎週のようにろ過材を交換する必要があるなどの管理の難しさがやはり関係しております。
 装置の入替や購入を考えている方は各ろ過装置のメリットとデメリットをよく考慮し、どれがその浴槽に一番適しているか選定する必要がありますね!
 では次に、ろ過装置の仕組みについて、とぉ~っても分かりやすい図と一緒にご説明いたします!

 

 スケッとお見通し☆ろ過装置内部構造

 みなさん、業務用のろ過装置って見たことありますか?
 業者でもない限り中々見られないと思うので、今回は「パッケージ型ろ過装置・YRCシリーズ」の内部構造をお見せしますよ!
 (肝心の画像が瞑れちゃったのでクリックして拡大してくれよな!)

 <設置例>
 ※こちらの図はオプション品の追い焚き機能付きになっているので熱交換器が取り付けられており、昇温器が幽霊のように佇んでいます。


①ヘヤーキャッチャー ②循環ポンプ ③殺菌装置
④電動五方弁 ⑤ろ過塔 ⑥熱交換器(オプション) ⑦制御盤

 <ろ過塔内部>


⑧セラミックろ過材 ⑨支持床硅石(大) ⑩支持床硅石(小) ⑫ストレーナー

 

 こういう図を見るとテンションが上がるのは私だけでしょうか? スケスケじゃねーの! という感じになりませんか。

 ……さて、では詳しい説明に入りますよ。
 まず、浴槽水は底部にある吸込み口からろ過装置に運ばれます。そしてパッケージされたYRCに入ると、まず①のヘヤーキャッチャーを通り、髪の毛や大きなゴミが取り除かれます。
 そして②の循環ポンプで元気いっぱい押し出されてろ過塔へ向かった浴槽水は、その途中③の殺菌装置から届いた次亜塩素酸ソーダと出会い殺菌されます。そして④の電動五方弁にたどり着くと、上昇しろ過塔へ入っていきます。
 ちなみに「塩素殺菌はろ過装置に入る直前が望ましい」と定めているのは「公衆浴場における衛生等管理要領」を製作している厚生労働省です。理由としては、汚れたままの浴槽水をそのままろ過していくと、菌がろ過材にくっついて育ち、悪さをし始めるからです。

浴槽水ちゃんのシンデレラストーリー

 ろ過塔内部は下の図ですね。浴槽水は均等に行き渡るよう上から散水されます。そこには⑧のセラミックろ過材が待ち構えており、ヘヤーキャッチャーを通り過ぎてしまった汚れを阻みながらろ過します。そして⑨と⑩の支持床硅石を通過して⑪のストレーナーで集水されたろ過水は電動五方弁で浴槽へ戻っていくのです。
 支持床硅石ってなんだ、と思う方もいらっしゃるかもしれないのでご説明しておくと、これはろ過材が水と一緒に浴槽へ流れてしまうのを防ぎ、また逆洗時に逆洗水が ろ過塔全体に均等に行き渡るように分配する重要な役割を果たしている砂利です。違うサイズを組み合わせることによって偏流も防ぎます。
 ※逆洗…目詰まりを起こさないように循環方向を逆にし、ろ過材に付いた汚れを洗い流すこと

 あと、ろ過した水を出す浴槽の吐出口は必ず浴槽の底部または側璧部に付けることになっています。これはエアロゾルによるレジオネラ菌の感染対策ですね。(エアロゾルについては第二回目の記事をお読みください)

 ハイ。これ、全部自動制御です。
 パッケージされているが故に人目に付かないですが、YRCくん黙々とろ過し続けています。主張することもなく、媚びることもなく……。なんてイイ子なのでしょう。
 他のメーカーの砂式ろ過装置も構造は大体これと同じです。違うのは機械の大きさやその他オプションとの兼ね合いです。温泉水に対応できるかどうかなどの仕様もですね。
 ユーアイ技研製のYRCくんの売りはコンパクトパッケージ化による低価格・業界最短納期!もちろん温泉水にも対応しているぞ!

 と、今回はこの辺にいたします。
 ろ過装置のことが少し身近になってくれれば嬉しいのですが、どうだったでしょう。
 次回はこんな感じで追い焚き装置の話をさせて頂きたいと思っておりますので、よろしくお願いします!

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