眩しい太陽、立っているだけでも汗ばんでしまうこんな季節、家族やカップルで出かけたくなるのが……そう、プール!
海もいいけれど、スリリングなウォータースライダーや、ゆったり寛げる流れるプールはやはり魅力的ですよね。屋内なら日焼けの心配もいりません。
もしも海派な方がいらっしゃるなら「ここで話題をプールにしておかないと話が進まないんだな」という寛容な心を持って読んでくだされば幸いです。
では話を進めますが、みなさんプールと言えばなにを思い浮かべますか?
水着、浮き輪、かき氷……、匂いなどどうでしょう。なにか匂いませんか?
そうです、プールってどこか懐かしい塩素の匂いがしますよね。小さい頃は毎年嗅いでいたなぁ、なんて望郷の念に駆られたり駆られなかったり……。
と、いうことで今回は「塩素」のお話をしたいと思います。
塩素とはなんや?
そもそも塩素ってなに? と聞かれると「水をキレイにしている薬」であることくらいしかパッと思い付きませんよね。はい、正解です。それが全てです。
しかしこれで終わってしまうわけにもいかないのでもう少し掘り下げていくと、プールの水を消毒する際に用いられる塩素と呼ばれる薬品は、「次亜塩素酸ナトリウム」や「次亜塩素酸カルシウム」といったものを一般的に指します。
人というのは悲しいもので、どれだけキレイにしていても目に見えない汚れやバイ菌が体に付着しています。そんな人間たちがたくさん入ると、当然ながらプールも汚れてしまいますよね。
目に見えない汚れもさることながら、プールや公衆浴場で危険視されているのが大腸菌やコレラ菌、レジオネラ菌といった菌類です。中でも危険なのはレジオネラ菌。ニュースなどで一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
レジオネラ菌の感染症は「レジオネラ肺炎」と「ポンティアック熱」という病型があります。インフルエンザのような症状を出すポンティアック熱は一過性で治癒しますが、肺炎の方は高熱・吐き気・意識障害といった症状を引き起こし、なんと死亡率が15%~30%にも上ります。
「次亜塩素酸ナトリウム」や「次亜塩素酸カルシウム」はそれらの汚れ・病原菌を分解してくれる頼もしいヤツ。いわば浴槽内の平和を守る浴槽保安部隊なんですね。
「塩素は体に悪いんでしょ(>_<)」なんて思う方もいらっしゃるでしょうが、死に至る危険性があるレジオネラ菌を撃退する重要な役割を担っているので、塩素はとってもエライのです。
「次亜塩素酸ナトリウム」と「次亜塩素酸カルシウム」の違いとは?
続いて、「次亜塩素酸ナトリウム」と「次亜塩素酸カルシウム」ってなにが違うの? という質問も出てくると思いますのでお答えしておきます
次亜塩素酸ナトリウム
こちらは水溶液なので液体になります。濃度は通常6%~12%、液体注入型の殺菌装置を使っているプールや浴槽の消毒に用います。
殺菌装置が自動で注入してくれるシステムになっているので、手間もかからず保健所も推奨しています。
次亜塩素酸カルシウム
さらし粉とも呼ばれます。濃度は70%ほどでナトリウム溶液より高いですが、希釈量で調節しているので問題はありません。
形状は粉・顆粒・錠剤の三つあり、いずれも投げ込み式。殺菌装置のないプールや浴槽の消毒に用います。
三種類の形状のうちどれがいいのか迷うかもしれませんが、弊社は顆粒タイプがオススメです。粉状であれば散布するときに風などで目や口などに入る可能性があり、また錠剤では解けきるのに時間が掛かり遊泳者の手に触れてしまう危険性があるからです。
最近では殺菌装置の導入が進み、次亜塩素酸ナトリウム溶液を使う施設が多いです。
「次亜塩素酸ナトリウム」の保存方法
さて、ではここからは今一番頑張ってくれている功労者、次亜塩素酸ナトリウム溶液にスポットを当てていきましょう。
上記で説明した通り、次亜塩素酸ナトリウム溶液はプールや浴槽の頼もしい味方ですが、適切な保管方法を守っていないと効果が充分に発揮されません。彼らは結構繊細な薬品なのです。
以下が次亜塩素酸ナトリウム溶液の一般的な特徴ですので、保存方法と一緒に見てみましょう。
次亜塩素酸ナトリウム溶液の特徴
・ 常温でも少しずつ自然分解しています。
・ 日光や紫外線でより分解が促進されます。
・ 温度の上昇とともに分解率がさらに上がります。
・ 未開封の状態でも自然分解が起こります。
保存方法
・ 直射日光を避け、出来るだけ涼しい場所に保管してください。20℃以下が望ましいです。
・ 開封したあとは早めに使い切り、残ったものは容器を密閉して保管してください。
・ また重金属や不純物、保管容器の汚れも分解を早める要因となりますので、タンクや容器の洗浄も重要です。
弊社でも「次亜塩素酸ナトリウム」や「次亜塩素酸カルシウム」を扱っておりますが、ご注文の際は基本的に、一回につき一ヶ月で使い切る分の量までとさせていただいております。一度にたくさん注文しても置いている内に有効塩素濃度(殺菌効力があるもの)が減少し、浴槽の消毒により多くの量が必要となってしまい、かえってコストが掛かるからです。
図1.2「保安部隊、応答せよ! 保安部隊ィ!!」
ご覧の通り、暑いところはかなり分解が早いですね。この時期なんか特に注意が必要です。油断していると、あれだけあった有効塩素濃度たちが半分に…これが夏の力なのか……なんてことになってしまいます。
これらのことに気を付けながら、無駄なく消毒していきましょう!
なぜ塩素は嫌われてしまうのか?
ここまで塩素がどれほど重要な役割を担っているかアツく語ってきましたが、実際のところ「塩素キライなんですけど~(>_<)」という方はたくさんいらっしゃいます。
たしかに法律で決まっているプールの塩素濃度は水道水より少しだけ高いです。しかし、とは言ってもプールの濃度の基準は0.4mg/L~1.0mg/L、水道水は0.1mg/L~0.4mg/Lとそれほど大きな差はありません。
なら、なぜプールは自宅のお風呂と違って髪の毛がキシキシになったり、お肌が荒れたり、目が赤くなったりするのでしょう? そこにはカラクリがありました。
塩素濃度といいますが、正しくは残留塩素濃度といって、測定するのは殺菌する前の有効塩素と、殺菌し分解されたあとに残る結合残留塩素を合わせたもの。それが話をややこしくしているのです!
なんのこっちゃ、と思うでしょう。説明します。
ズバリ、髪の毛をキシキシにさせたりする悪者は、次亜塩素酸ナトリウムとアンモニアが化学反応を起こし生成されるクロラミンという結合残留塩素が原因なのです。
分かりやすく言えば、プールで泳いでいる人から出るアンモニア、例えば汗や汚れや化粧品、整髪料などですが、分解するために塩素がそれと結合し、クロラミンという髪や肌や目を刺激する物質が生まれるわけです。
つまり水中に病原菌がいなくてもアンモニアが多いほどクロラミンが発生するのです!
いきなりですがドラマ風にしてみます。
~プールヶ原の戦い~
アンモニア軍「進軍、進軍~!」
塩素軍「絶対阻止! 戦え~!」
アンモニア軍と塩素軍の合戦(結合)開始
有効塩素(殺菌能力が高い塩素軍兵)「ぐわあああ!!! やれたぁ!!!」
塩素軍「ああ、元気な兵士がどんどん結合残留塩素(クロラミン、殺菌能力が低い塩素軍兵)になっていく! まずいぞ!」
塩素軍「敵が多すぎる! これでは間に合わない! 援軍を寄越せ~!」
塩素追加投与、プール内の塩素が濃くなる。
しかしクロラミンも同じく塩素なので残留塩素の割合が
有効塩素より結合残留塩素の方が多くなっていく。
塩素軍「しまった! 戦いに参加できる兵の定員になってしまった!
もう手負いの結合残留塩素の方が多いじゃないか!」
はい、プールの中ではこのような戦いが起きておりました。
いくら塩素が殺菌しようと頑張っても残留塩素濃度が決まっているので、アンモニアが多いプールにはどうしても結合後のクロラミンが多くなってしまうのです。
じゃあアンモニアを少なくすればいいじゃないか! と思う方もいらっしゃるかもしれません。おっしゃる通りです。
しかし、この季節プールにはたくさんの人が泳ぎにきます。その分、汗も流れるでしょうし、体に付いた汚れも流れるでしょう。これは仕方ないことです。
我々にできることはただ一つ。プールに入る前には化粧を落とす。整髪料も落とす。シャワーで体の汚れを事前に落とす。可能な限り清潔な体でプールに入ることです! そしてプールの中でお○っこをしない!
と、いうことで第一回目の「なっとく!ユーアイ塾」は如何だったでしょうか?
ちょっとプールや塩素のことに詳しくなったのではないでしょうか。こんな感じで今後もこのコーナーを続けていこうと思っているので、どうぞよろしくお願いします(*^_^*)
最後に余談ですが、みなさんはプールがなぜ独特の匂いを発しているかご存知でしょうか?
それもクロラミンの仕業です。水道水と同じくらいの濃度なのに……と思っていた方もこれで解決ですね。
みなさん、くれぐれもプールの中でお○っこはしてはいけません!!!
ユーアイ技研では「次亜塩素酸ナトリウム溶液」も「次亜塩素酸カルシウム」も取り扱っております。
ご注文の際は、072-936-0039までお電話ください!
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