こんにちは。なっとくユーアイ技研、今回は緊急特番です。
と言いますのも、我々水処理業界が大事にしている「公衆浴場における衛生管理要領」等が令和元年の9月に改正されまして、浴槽やプールの水質基準が現行より詳しくなったことによります。
そこで今回は厚生労働省も推奨している「モノクロラミン消毒」についてご説明しようと思います。
浴槽水殺菌について
なっとくユーアイ技研でも「レジオネラ対策として次亜塩素ナトリウム溶液がありますよ」という話をしたことがあります。(第一回へ)
これは「レジオネラ症を防止するために必要な技術上の指針」という厚生労働省が出している指針に沿うためよく使用されている塩素系の殺菌消毒液です。
指針によれば、浴槽水の残留塩素濃度は通常0.2mg/L~0.4mg/L程度を保ち、かつ最大1.0mg/Lを超えないように努めるようにという文言があります。
しかし現在主流である次亜塩素酸ナトリウムは殺菌効果が優れているものの、アルカリ泉質やアンモニア態窒素が多く含まれる泉質では濃度管理が困難で殺菌効果が低下する問題を抱えておりました。
またカルキ臭等もあり、温泉スキーさんたちが苦い顔などする問題もあったりします。つらい話です。
そこで、ここ最近モノクロラミンという新たなる殺菌消毒方法が頭角を現しております。
何奴!モノクロラミン
モノクロラミンというのは結合塩素です。結合塩素…?なんか聞いたことあるなぁ。
そうです、なっとくユーアイ技研第一回にこんな文章があります。
《次亜塩素酸ナトリウムとアンモニアが化学反応を起こし生成されるクロラミンという結合残留塩素》
え~、クロラミンてもう戦闘力ないヤツやん~。
と思いますが……いえいえ、結合残留塩素も殺菌作用はちゃんと持っております。
殺菌力基準値的には
結合残留塩素(クロラミン)…0.4mg/L以上が必要
となります。なるほど、一騎当千ではなく寄ってたかってボコボコするタイプか。
モノクロラミンの場合、浴槽の残留塩素濃度は3mg/L程度と定められています。これは塩素系の殺菌剤の0.4mg/L程度よりかなり多いですね。
導入するのか、しないのか
「うちの温泉アルカリ性やわ……たしかに塩素濃度保つの難しいなぁ」と思っている管理者さんの中にはモノクロラミンにご興味を持つ方もいらっしゃるかと思います。
では実際に導入を検討してもよい泉質・導入するためには、のお話もさせていただきます。
導入を検討してもよい泉質
現在塩素系殺菌剤で充分管理できている浴槽についてはまったく問題ないでしょう。
検討しても良いのは塩素系殺菌薬の効果が低下する泉質、アルカリ性・アンモニア性窒素・鉄・マンガンやフミン酸類が多く含まれる温泉です。
アルカリ性の温泉は塩素殺菌の効果が低く、アンモニア性窒素の温泉は残留塩素濃度が不安定に変化するようで中々管理が難しいのですね。
しかしモノクロラミンであれば、もとから結合しているわけですから次亜塩素よりも残留塩素濃度が大きく変動しません。
ただ、泉質がこれら以外でも「カルキ臭を少しでも減らしたい」「肌への刺激を最小限にしたい」といった浴槽にも効果が期待できます。
※酸性の泉質は悪臭物質が生じるため使用できません。
モノクロラミン殺菌を導入する準備
モノクロラミンの薬剤は保存がききません。なので次亜塩素酸ナトリウムとアンモニア剤を水で混ぜて現場で作らなければなりません。
自動混合で注入してくれる装置も少ないながらありますが、導入にはやはりコストが掛かります。
こればっかりは経営状況と相談ですね……。
どうなる浴槽消毒業界
平成25年にはアンモニア態窒素を含む泉質が多い静岡市が、塩素系殺菌剤を基本とするがモノクロラミン消毒も認めるといった規定改正をおこない、今回の令和元年で各都道府県すべてが認めることになりました。
これを機に温泉の殺菌方法を色々考えてみてはいかがでしょうか?
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