第十五回 配管継手

こんにちは、今回もなっとくユーアイ塾が始まります。
今回の配管シリーズ第三回目はその名も「配管継手」です。前回まではバルブ(弁)のお話をさせていただいておりましたが、今回は管と管を繋ぐ継手のお話をきいてください。
これを覚えるとなんと、ひと昔前のWindowsのスクリーンセーバー「3Dパイプ」さんを見るのがかなり楽しくなったりします。ヒュウ、やったね。どこで見られるかなぁ。

継手の種類

配管継手とはシンプルに管と管を「延長」するものですが、それ以外にも「分岐」「縮小・拡大」「屈曲」「閉鎖」など様々な目的で使用することができます。
今回は9種類の継手をご紹介します。

用途

名称
(略号)

説明
屈曲 エルボ(L) 流体の方向転換に用いる継手。
曲り角度によって45度や90度など種類があります。さらに曲げ半径が大きいものを「ロングエルボ」小さいものを「ショートエルボ」といい、一般的にはロングエルボがよく使われます。
ひじっぽいからエルボ(多分)

引用:リガルジョイント

延長 ソケット(S) 外ねじ同士の直管の接続に用いる継手。(ねじ込式※)
溶接式(※)はカップリングといいます。両側が径違い(異径)のものもあります。
※接続方法はのちほど

引用:リガルジョイント

ニップル(Ni) 内ねじ同士の直管の接続に用いる継手。

引用:リガルジョイント

縮小・拡大 ブッシュ・ブッシング(Bu) 管径が違う直管の接続に用いる継手。
径の大きい方が内ねじ、小さい方が外ねじになっています。

※画面左
引用:リガルジョイント

分岐 チーズ(T) 流体のT字分岐に用いる継手。覚え方はT-ズ(チーズ)

引用:リガルジョイント

クロス(X) 流体の四方分岐に用いる継手。

※画面右
引用:リガルジョイント

着脱 ユニオン(U) 取出しを可能にさせるための継手。
ナットを緩めるだけで管から取り出せるので、トラブルになった時を想定して配管を途中で外せる場所を作ることができます。バルブの近くにも付けます。

※画面右
引用:リガルジョイント

フランジ(F)

管同士の接続、バルブや温度計などの計器類との接続に用いる継手。
円筒部分を管と接合し、円盤部分同士をボルトなどで締結することで配管を途中で外せる場所を作ることができます。ユニオンよりしっかり接続でき、漏れが少ない。
↓これを2枚、間にパッキンを挟みつつ『┫|┣』こうやってボルトで留めます。

※画面右
引用:フローバル

閉鎖 キャップ(Cap)

末端閉鎖に用いる継手。帽子みたいだからキャップ(多分)

引用:リガルジョイント

接続方法

テーパネジ

ストレートネジ

  • ねじ込み式…比較的低圧で小さい口径に採用されます。溶接などで完全に固定しないので、補修メンテナンスがしやすいのが特徴。水道用だと呼び径50A以下はねじ込式を使うことが多いです。
    テーパーネジとストレートネジがあり、テーパは先端が細くなっています。

 

 

突合せ溶接

差し込み溶接

  • 溶接式…高圧の配管接続に採用されます。熱や圧力を加えて接合部が連続性をもつ一体化された部材にする方法です。突合せ溶接と差し込み溶接があります。

 

 

 

 

ち~ずふらんじ

  • フランジ式…小さい口径から大きい口径、低圧から高圧まで幅広く採用されます。
    間にパッキンを挟みつつ円盤部分同士をボルトで締結する方法です。継手としての単なるフランジもありますが、例えば「チーズ フランジ接続式」といった、チーズの先端が最初からフランジ式になっているものもあるわけです。水道用だと呼び径50A以上はフランジ式を使うことが多いです。

呼び径・呼び圧力

  • 呼び径
    配管材料の大きさはセンチやミリなど我々が慣れ親しんでいる単位を使用しません。「○A」とか「○インチ」とかを使います。覚えなくっちゃいけないんです、ぴえん。
A呼称 B呼称 俗称 継手外径(ミリ)
6 1/8 1分 10.5
8 1/4 2分 13.8
10 3/8 3分 17.3
15 1/2 4分 21.7
20 3/4 6分 27.2
25 1 インチ 34.0
32 1-1/4 インチ2分 42.7
40 1-1/2  インチ半 48.6
50 2 2インチ 60.5
65 2-1/2 2インチ半 76.3
80 3 3インチ 89.1
90 3-1/2 3インチ半 101.6
100 4 4インチ 114.3
  • 呼び圧力
    耐圧強度の区分を表す呼び名で記号「K」を使います。
    フランジ継手には材質と呼び圧力によって温度ごとの最高圧力が決まっています。と、いうことは流体の温度と流れる勢い(圧力)と材質が解れば、おのずと呼び圧力も選定できるというわけですね。

素材

  • 鉄管(クロ)・・・水、油、蒸気、空気などの流体に対応している材質。見た目も黒い。
  • 鉄管(シロ)・・・表面にめっき加工(溶融亜鉛めっき)がされている材質。錆や腐食を防げる。見た目も白い。
    ※溶融亜鉛めっき・・・鋼材の防錆処理の一種。亜鉛めっきの槽に浸けることから「ドブづけ」とも言われる
  • 黄銅・・・水洗トイレの給水管などに使用される材質。見た目も黄色くてピカピカ。
  • 青銅・・・黄銅より強度・硬度・耐力に優れている材質。硬さや強度は鉄よりも劣るが、錆びにくい。見た目はくすんだ金色。
  • ステンレス(SUS)・・・優れた耐食性を持ち普及率が非常に高い材質。
  • 塩ビ・・・塩化ビニル管のこと。汎用性・価格・強度に優れた材質。見た目は灰色。下記の種類があります。
         使用しているパイプの材質によって継手の材質も変わるので注意です!
使用している管(パイプ) 対応する継手 継手の説明
VP管
正式名称:硬質ポリ塩化ビニル管
※圧力(給水)用
TS継手 硬質ポリ塩化ビニル管に使用する継手
※圧力(給水など)配管用 ~60℃
HIVP管
正式名称:耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管
※圧力(給水)用
HITS継手 HI(ハイインパクト)VP管に使用する耐衝撃性の継手
※圧力(給水など)配管用 ~60℃
VU管
正式名称:硬質ポリ塩化ビニル管
※無圧(排水)用
DV継手 硬質ポリ塩化ビニル管に使用する継手
※無圧(排水など)配管用 ~60℃
HT管
正式名称:耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管

HT継手
(給湯用)

硬質ポリ塩化ビニル管に使用する継手
※高温流体用 ~90℃
HTDV継手
(給湯排水用)

硬質ポリ塩化ビニル管に使用する継手
※高温流体用 ~90℃

こんなふうに配管継手には色々種類がありました。
これは覚えるのに一苦労……ですが覚えてしまえば暗号が解読できたような爽快感が味わえるはずです!

では今回はこのへんで。ありがとうございました!

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