こんにちは!なっとくユーアイ塾のお時間です!
最近ようやく涼しくなってきましたね!なんとこの記事を書き始めた9月19日には北海道で今シーズン初の雪を観測したとかなんとか……!
これからもっと寒くなると楽しみになってくるのがバスタイムですね~。冷えた体を温める至福の時間です。シャワー派の人だってショーシャンクの空にごっこくらいするはずです。
しかし喜びに浸っている最中、たまに訪れるのが不意の冷水とシャワー圧の減退。思わず大きな声が出るアレですね。大体オカンが台所で温水使って皿洗いを始めたせいです。
時々オカンも気を遣っているのか必要なときしか水を流さないようにしてくれるんですが、それがかえってシャワー圧を↑↓↑↓と狂わせ、さらに湯温も↑↓↑↓で「イーーーッ!」としちゃいます。
ところが公共施設に行ったときって、そういうショッカーみたいな気持ちに一度もなったことないですよね。
浴槽にも温かい補給水ドバドバ出てるし、時限式だったとしてもシャワーだって元気に出るし、なんだったら脱衣所にある洗面台の蛇口からもジャバジャバ出ます。
これってなぜなんだろう?そんな疑問に今日はお答えします。
ショッカーの原因
そも、家庭内でショッカーになってしまう原因とはなんなのでしょうか。
マンションでも一戸建てでも、各家庭に一台給湯器が設置されている設定で話を進めると、その設置されている給湯器には号数といって給湯能力があります。「どんだけの時間でどんだけの湯量をどんだけの温度に昇温できるか」っちゅーヤツですね。
イーッ!の原因はそれに関係しています。シンプルに言えば、風呂場でショッカーを温め、同時に台所でオカンも温めるまでの能力がその給湯器にはなかったのです。
こうなればもう給湯器をより大きい号数に交換するしか術はありません。でもお高いんでしょう……と思うなら、お風呂に入っている間オカンを縛り付けておくか、お風呂の前に自ら皿洗いを買って出るか、シャワーヘッドを変えてまるで水圧が増したかのような自己催眠をかけなければなりません。
家庭用給湯器は大体において複数人を同時に温めることはできないのです……。
家庭用給湯器と業務用給湯器
一台の給湯器からの愛を複数人で貪りあう一般家庭がああなのに、公共施設ともなればもっと大勢の人間が給湯器を必要とします。
なのになぜああいった施設はみんなが幸せになるのでしょうか?
まず、給湯器には家庭用と業務用があります。
家庭用給湯器は16号・20号・24号が主流で、一方業務用は50号までが国内で製造販売されています。
さっきぽろっと言いましたが、詳しく言えば号数とは「『1分間に水温+25℃のお湯をどれだけの量(L)出すことができるか』を表した数値」とのことです。
公共施設は当然のことながら大きい号数の給湯器を使用しています。しかもソレ、複数台連結してます。
お湯じゃばじゃば★マルチシステム
入浴施設じゃなくともお湯をバンバン使う施設って結構たくさんあります。飲食店とか美容室とか色々……。
小規模な店舗や施設なら業務用給湯器1台で足りることも多いのですが、それこそホテルや旅館、介護施設になるとそうも言っていられません。給湯器目線からいえば劣悪極まりない過酷な環境もあるわけです。1台ではとてもフォローできるもんじゃありません。
そういうときは給湯器を増やして連結させます。会社の社員雇用と一緒です。
私が知っているうちでも最大24台の給湯器が連結可能です。50号がです。単純に計算しても能力最大開放で1分間に1200Lのお湯が出るわけです。家庭用のお風呂の容量が300Lだとすると、1分間に4つのお風呂が沸く……控えめに言ってヤバイです。
こういった連結制御されている給湯器の一団をマルチシステムと言います。
必要台数の出し方
突然ですがお宿を建てようと思います。
都心から離れた自然豊かな土地で、古民家を一軒使って小さなお宿をするのです。
お風呂には男女合わせて8つのシャワーがありまして、桶に溜めるあのカランも一緒に8つあります。(※カラン…じゃぐちのことです)
ほんで浴槽は1.5tの浴槽が男女一つずつ。それと厨房と洗面所に設置されているカランが12個だとします。
もうここまで決まれば計算できます。あとはこの二つの表があれば完璧。
給湯能力算定早見表 ①シャワー・カラン ②他のカラン ③浴槽
シャワーは8つ、カランも8つで合計16個あります。
「給湯能力算定早見表」の①シャワー・カランを見てみますと、この台数だと288号の能力が必要ということになりますね。
しかしここでワンクッション、男女の浴槽でシャワーとカランの全部からお湯を出すことなんてあるのか? ……ない!!!!
ということで、今度は「給湯箇所別同時使用率」を見てみましょう。
16個の給湯箇所がある場合、同時使用率は60%となっています。
なので16個に必要な288号を60%で割ります。そのまま288号で考えるのは過剰設備になるっちゅうことです。
で、最終的な結果は173号になりました。覚えておきましょう。
ステップ2 厨房・洗面所等にあるカランの数に相当する号数を計算
数えてみたらお湯が出るカランがお風呂以外にも12個あったとしましょう。
ステップ1と同じように、まず「給湯能力算定早見表」の②他カランを見てみると168号になっています。
からの「給湯箇所別同時使用率」。62%だ。計算すると……105号、なるほど。
ステップ3 浴槽の湯張りに必要な号数を計算
男女それぞれ1.5tの浴槽があります。あわせて3t(3000L)ですね。
「給湯能力算定早見表」の③浴槽によると、2つの湯張りを同時にするときには180号の能力が必要です。
ステップ4 必要号数の決定
必要号数を出すときには、ステップ1とステップ2の結果を足します。
お風呂の湯張りは?と思われるかもしれませんが、お宿の場合ですと浴槽にお湯を溜めるときはお客さんを浴室に入れないようにしているのでお風呂場のシャワーやカランが湯張りと同時に使用されることはありませんし、他の厨房や洗面所にしてもそこまでのお湯は出さないでしょう。
なので考えなくていいのです!!!!ステップ1とステップ2の合計より下回っていれば問題ありません。
では満を持してステップ1とステップ2の結果を足します。278号。
やっぱり業務用給湯器といえど1台では確実にまかないきれない求められ方ですね。
と、いうことで……
給湯器雇用だ!!
今回は50号の給湯器のみなさんを雇用しようと思います。定員は278号÷50号で5.56……6台雇用すれば解決ダァ!馬車馬のように働けぇ!!!!
㈱マルチシステムの雇用形態
こうして(仮称)ユーアイの宿に6台の50号給湯器がやってきました。
さて、ここでこの給湯器たちがどのように協力して働いていくのか確認しましょう。
▼仕事内容:水を温めるだれにでもできる簡単なお仕事
▼勤務時間:~8時間(交代に失敗した場合16時間)
▼平均勤続年数:3年
▼休み:不定休
▼コメント:和気あいあいとしたアットホームな職場です!
マルチシステムは給湯負荷に応じて必要な台数のみを燃焼させます。
最初はメイン給湯器1台、それが一定の能力に達するとサブ給湯器が一台、また一台と増えていく仕組みです。基本ワンオペ……。
ただしメイン給湯器はローテーションで変わっていきます。
8時間ごとに交代ということです。(交代のタイミングにメイン給湯器が燃焼している場合はさらに8時間追加。最長16時間までメイン給湯器の交代なし)
ヒェー。たしかにこんな環境なら寿命が3年でも仕方ないなぁ。
ん~~~生まれ変わっても給湯器にはなりたくないなぁ~~~。
と、いうことで今回のなっとくユーアイ塾は終わりです!
また次回お会いしましょう!
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